書類や面接などで評価する「AO入試」は、たくさんの生徒に合格のチャンスがある人気の受験方式の一つです。
ただ、AO入試によって大学生の学力が低下したと懸念する声があるのも事実で、ついに文部科学省が学力評価を義務付ける方針を決定しました。
今回は、AO入試の仕組みと今後の動向について書きます。推薦入試やAO入試を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
AO入試の問題点
*目次
そもそも、AO入試とは学力重視の受験方式とは異なり面接や小論文など生徒の人物を重視した受験方式のことです。
これにより、たとえ学力が十分ではない生徒でも、大学への意気込みや志望動機など「学力以外」を基準に選抜される仕組みとなっています。
ただし、学力を重視しないことによる弊害もいくつかあり、代表的なのが大学入学後の学力です。
春近くまで勉強を続ける一般入試組と比較して単純に勉強に費やす時間が少ないため、学力の低下が心配されています。
実際、大学関係者からも「最近の大学生は学力が下がっており、特に自分で考えて論理的に考える能力が昔に比べて低下した」と言われており、国を挙げた対策が必要だと議論されていました。
論理的思考力の低下の背景にあるのが、学力試験のない推薦(指定校推薦)・AO入試、マークシートといった試験方式です。
マーク式答案を機械で読み取るのは、大学センター試験から導入されており、機械で行うため採点ミスを防ぎ、効率的に採点できるのが特徴です。
また、人間が採点するわけではないので採点の不公平を無くす意味でも、非常に優れた試験方式なのです。
しかし、プラスに見えるこのマークシート方式こそ大学生の学力低下の一つの要因となっています。
2020年度からAO入試に学力評価が義務化される
AO入試による大学生の学力低下問題に、ついに文部科学省が動きを見せました。
それが、2020年度から国公私大に対して学力評価を義務付けるというもので、大学生の学力低下を解消するのが大きな目的です。
また、文部科学省は大学入試センター試験に代わるものとして「大学入学共通テスト」を導入する予定です。
AO入試で共通テストを実行する
学力低下として取り上げられる推薦入試やAO入試には、プレゼンテーションや共通テストを導入します。
国公立を問わず、学力がわかるような試験を導入してAO入試の人物重視に偏らないように選抜するということもすでに決まっています。
これによって、学力が著しく低い生徒にはある程度の学力が必要になり、大学生の学力問題の改善の一歩となることが期待されています。
また、入試時期も従来の8月から9月に変更となり、合格発表は11月以降になります。
それぞれ入試方式の名前も仮ですが変更になります。一般入試は「一般選抜」、AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」です。
国立大学のAO入試の定員が増える
もう一つの大きな動きとして、2021年度までに全ての国立大学の推薦入試・AO入試による定員を30パーセントにまで増やすというものです。
通常、国立大学の推薦・AO入試で入学した学生の割合は全体の約15パーセントでしたが、これが大きく増えることになりますね。
15パーセントでも、思っていたよりも多いと感じる人はいるかもしれませんが、これが全体の約3割になるのでかなり増えます。
なぜ、学力低下が心配されるAO入試なのか?
「ちょっと待って、学力低下の原因になっているAO入試がなぜ増えるの…?」と疑問に思う人は多いでしょう。
確かに、今まで推薦・AO入試で入学した学生の学力には問題点が指摘されていましたが、大学生活での満足度が高いのもAO入試で入学した学生なのです。
学生生活の満足度が低い場合、授業を始めクラブやサークルなどあらゆる面に影響が出てくる可能性があります。
もし、どんなに学力があっても大学生活が楽しくなければ、結果的に単位を落とすことにつながることも考えられます。
AO入試が改定されるまで問題点は残る|まとめ
現在、2018年なので2020年まであと2年。
AO入試が改定されるまで問題点は残ったままですし、現役のAO入試で入学した大学生にとって学力低下問題は決して解決したわけではありません。
そんな時には、大学生の悩みを解決してくれる大学生向け家庭教師を上手に活用することでしっかりとして対処していきましょう。
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